技術について データ処理

PSDM

OGFの速度モデルの構築技術は、時間または深度イメージングのための正確な速度モデルを、迅速に構築できるツールを備えています。特に、OGFのSPArKツールは、あらゆる地質環境に対して迅速で効果的な速度モデルの構築を可能にします。SPArKはオフセットと角度領域でトモグラフィー的にモデル構築が可能で、速度モデルだけでなく、異方性※1とQモデル※2も構築できます。

また、OGFのモデル構築のツールにはFWI(フルウェーブインバージョン)※3技術も組み込まれており、複雑な速度問題を解決するための詳細な情報を追加することが出来ます。地下の正確で信頼性の高いイメージングを実現するには、マイグレーションアルゴリズムを適切に選択する必要があります。OGFのイメージングでは、業界をリードするイメージングアルゴリズムを完備しており、これらのアルゴリズムには、キルヒホッフ時間※4、キルヒホッフ深度※5、波動方程式マイグレーション(WEM)※6、リバースマイグレーション(RTM)※7、および最小二乗マイグレーション(LSM)※8が含まれます。 ※全てのOGFマイグレーション・アルゴリズムはQモデルに対応しています。

OGFのFWI(Full Waveform Inversion、フルウェーブインバージョン)を含む速度モデル構築処理とキルヒホッフ深度マイグレーションを組み合わせることで、複雑な地下地質構造に対しても、最適で高解像度の速度モデルを得る事が可能です。

※1 異方性とは、物質の特性が方向に依存して異なる性質の事です。物理探査では、地震波の伝播速度が異なる方向において変化することを意味し、地下構造形態をより精密に把握するために考慮されます。

※2 Qモデルは、地下の岩石や堆積物がどの程度地震波動エネルギーを吸収し、波動の減衰を引き起こすかを示すモデルです。物理探査においては、地震波の減衰を考慮するために使用され、地下の質量や流体の特性を推定するのにも役立ちます。

※3 FWI(全波形逆解析)は、観測された地震波形全体を利用して地下構造を高精度に推定する手法です。地震波の振幅や位相の詳細を利用することで、従来の手法よりも精度の高い地下モデルを構築できます。現在の石油やガス探査において、特に重要な技術とされています。

※4 キルホッフ時間マイグレーションは、地震データの処理技術の一つで、反射波の到達時間をもとに、反射波データから地下構造イメージを構築する技術です。波動方程式の高周波近似解に基づく方法で、反射面を再構築するための単純で計算効率の高い手法として広く使用されています。

※5 キルホッフ深度マイグレーションは、地震データを深度領域で処理し、より正確な地下構造の画像を生成する手法です。特に地震波伝播速度が変化する複雑な地層構造に対して有効で、波の屈折や速度変化を考慮して、精度の高いマイグレーションが可能です。

※6 波動方程式マイグレーションは、地震波の伝播を波動方程式に基づいてモデル化し、地下構造をより正確に画像化する手法です。地下の地質環境が複雑な領域でも正確なイメージを提供するため、従来の(高周波近似解に基づく)キルホッフマイグレーションに比べて優れた解像度を実現します。

※7 リバースタイムマイグレーション(RTM)は、地震波伝播現象における時間を逆転させシミュレーションすることで、正確な地下構造の画像化を実現する手法です。特に深部構造や複雑な地層に対して有効で、高精度な結果を提供します。ただし、この時間リバース計算を行うために大量の計算資源を必要とします。

※8 最小二乗マイグレーションは、観測データとモデルにより予測されるデータの差を最小化するマイグレーション手法です。データの誤差の最小限に抑えることで、より正確な地下構造イメージが得られ、特に高品質なデータ解析に役立ちます。

ブロードバンド処理

海洋で曳航するストリーマーの受振データの帯域幅は、ゴースト波の影響で減少します。 しかし、OGFの技術により、ゴースト波によって失われた周波数を回復することができます。ゴースト波に対処するために、取得ベースと処理ベースの2種類の方法が提供されています。

OGFの取得ベースのソリューションは、「たんさ」のデュアルセンサーであるジオストリーマーを使用し、レシーバ・ノッチ(データの欠落した帯域)のエネルギーを完全に回復することです。

OGFの処理ベースのソリューションは、ゴースト波をモデル化し、補正を適用することです。 尚、本技術には、ソースの特性と海況に多くの仮定があるため、限界があります。 処理ベースのデゴースト技術は、マルチセンサーで取得したデータと従来のストリーマーで取得したデータの両方に適用できるため、最新技術の利点を再処理によって古いデータセットに適用し、古いデータに新しい視点をもたらすことが可能です。

OGFは、取得ベースと処理ベースの技術の両方、又は両方の組み合わせからなるデゴースティングソリューション※9一式を提供しています。

※9 デゴースティングは、地震データにおける「ゴースト」反射(地震波形を歪める反射)を除去するプロセスです。この技術により、特に水中音響探査で得られる信号の品質が向上し、地下構造のより正確なイメージングが可能となります。